【柏市】築70年の古民家を再訪。「暮らしと馴染む」家づくり
- 2025/12/25
先日、オープンから半年以上が経過した柏市のレンタルスタジオ『古民家やご』へ伺いました。本工事の時から『ここはゆくゆくは手を入れたいですね!』と話していた雪見障子や玄関建具のメンテナンスです。

職人の「意図」を読み解き、次世代へ繋ぐ
今回のメインミッションは、建具の修繕。 築70年の歴史を持つこの建物には、現代の規格品にはない、当時の職人による手仕事が至る所に隠されています。
現場では、建具屋さんやオーナー様と共に、昔の職人がなぜこの寸法を選んだのか、なぜこの細工を施したのか、といったマニアックな対話に花が咲きました。 「ここはあえて数ミリずらして遊びを作っている」「この面の取り方は粋だ」 そんな職人の意図を読み解きながら、現代の使い勝手に合わせて1ミリ以下の単位で調整を施していきます。
こうした地道なメンテナンスこそが、古民家を単なる「古い建物」から、次の世代へ誇れる「文化」へと磨き上げていくのだと感じています!
「使い込まれる」ことで完成する建築
今年4月オープン以来、オーナー様の想いのもと、この場所では子供たちの工作教室や学習教室、地域の方々の交流イベントが絶え間なく行われてきました。 空間には賑わいの余韻が染み込み、竣工直後よりもずっと「いい顔」をしていました。

実は私も、先日娘と一緒に「まこものしめ縄作り」のワークショップに参加してきました。
まこものしめ縄 こちらはオーナー様が作られた、とっても素敵な見本です新築でも、家具が入って暮らしが馴染むのに3年ほどかかると言われますが、古民家再生やリノベーションにおいても、こうして実際に活用されて初めて「完成」に向かうのは同じだと感じています。
室内を拝見すると、オーナー様が大切にされているアンティークの振り子時計やドライフラワーが、私たちが手を入れた漆喰壁や古い木部と見事に調和していました。その光景を目にし、オーナー様の暮らしと建築がしっくりと馴染んでいるのが肌で感じられ、設計者として嬉しい限りでした。

パートナーとしての設計事務所
古民家再生は、一度直せば終わりではありません。 木は動き、土は締まり、家は変化し続けます。 私たちは、単なる「設計者」ではなく、その建物(あるいはコミュニティ)の歩みに寄り添い続ける「主治医」でありたいと考えています。
「不具合が出てから呼ぶ」のではなく、定期的に声を掛け合い、微調整を重ねる。 その積み重ねが、結果として建物の寿命を延ばし、オーナー様の資産価値を守ることに繋がります。
『古民家やご』がこれからも子ども達は地域の皆さんの「くつろぎの集い処」として愛され続けるよう、私も技術と情熱(と、溢れる古民家愛!)でサポートし続けて参ります。
古民家を、次世代へ繋ぐパートナーとして
お手持ちの古民家の維持管理でお悩みの方、あるいは「譲り受けた建物をどう活かしていいか分からない」という方は、ぜひ一度お気軽におしゃべりしに来てください。
単に直すだけでなく、その家が100年先も「大好き」と言ってもらえる場所であり続けるよう、確かな技術とたっぷりの愛情で伴走させていただきます!
【ご相談・お問い合わせ】 アトリエ椿:kasahara.archi@gmail.com (古民家の診断、リノベーションの設計・施工のご相談など、いつでもお待ちしております)


















