【現場一気見】石場建ての建て方から竹小舞の壁づくりまで
- 2026/04/22
こんにちは。アトリエ椿の笠原です。
前回の更新から少し時間が経ちましたが、現在進行中の平屋住宅のプロジェクトでは
現場では家づくりの「核心」とも言える重要な工程がいくつも重なっていました。
木造の構造が立ち上がる【建て方】から、土壁の下地となる竹小舞かきへと、
現代の効率優先の家づくりではなかなか見ることができなくなった日本の伝統的な建築の風景をたっぷりとお届けします。
1. 「石場建て」——大地の力を逃がす先人の知恵
まずは家が立ち上がる「建て方」から。
今回の大きな特徴は、なんといっても「石場建て(いしばだて)」です。
多くの現代建築がコンクリートの基礎にボルトで家を固定するのに対し、石場建ては地面に据え置かれた「石」の上に直接柱を立てる工法です。

写真をご覧いただくと、職人たちがそれを阿吽の呼吸で材木を組み立てていくダイナミックな様子が伝わるかと思います。

一見すると繊細なバランスの上に乗っているように見えますが、
これは地震の揺れを固定して受けるのではなく、いなして「逃がす」という、古くからの日本建築が持つ免震の思想に基づいています。
2. 伝統の継手・仕口に宿る職人の矜持
この建て方を支えているのは、職人が一本一本、木の性質を見極めて手仕事で刻んだ「継手(つぎて)」や「仕口(しぐち)」です。

伝統的な建物だと金物や釘を全く使わないという表現もありますが、それは誇張した表現で、
実際は経済的な理由で金物を使えなかった時代以降は適所に釘を使っています。
しかし、金物に頼りすぎず、木と木を噛み合わせることで建物を一体化して強度を出すのは本当で、
一本一本の強度はそれほどでもない材木で作られた木造の建物が100年以上保たれているのは、やはり
しっかりと組みあがった構造あってのことです。
四角い穴にはあとから木の栓をいれて固定しますそして、木が乾燥して締まることで、年数を経るごとにさらに接合部が強固になっていくその仕組みは、
まさに植物である「木」を熟知した日本人ならではの技術です。
現場に漂う瑞々しい杉や檜の香り。
そして、職人の玄翁(げんのう)が木材を叩く心地よい音が響き、平屋の堂々とした骨格が立ち上がっていく様は、設計者である私にとっても背筋が伸びる思いでした。
3. 餅まき、弾ける笑顔。受け継ぎたい「上棟式」

無事に棟が上がったことを祝し、上棟式と餅まきを執り行いました。
最近では簡略化されることも多いこの儀式ですが、今回はお施主様のご意向もあり、近隣の方々もお呼びして盛大に開催することができました。
澄み渡る青空の下、屋根の上から撒かれる餅が白い弧を描き、集まった皆さんの歓声が現場を包みます。
大人も子供も、地面に落ちた餅を夢中で追いかける。
その光景を見ていると、家づくりとは単に建物を建てることではなく、この土地に新しい暮らしが根付き、地域との縁を結ぶことなのだと改めて実感させられました。

お施主様ご家族の晴れやかな表情が、私たち作り手にとっても最高のご褒美です。
4. 光と風を編み込む「竹小舞」
お祝いの余韻を胸に、現場は屋根や壁をつくる工程へと進みます。
こちらは土壁の下地となる、伝統的な「竹小舞(たけこまい)」です。
職人が手際よく竹を割り、縄を使って格子状に編み込んでいく。この「小舞を編む」という言葉通り、熟練の手さばきで壁一面が竹の網目で覆われていきます。
完成すれば壁の中に隠れてしまう部分ですが、この竹の骨組みがあるからこそ、その上に塗られる土壁がしっかりと密着し、呼吸する壁となります。

特筆すべきは、この瞬間にしか見られない美しさです。 格子状の竹の隙間から差し込む光、そして通り抜ける風。
まるで巨大な楽器の中にいるような、あるいは籠(かご)の中に守られているような、透き通った建築の姿。自然素材だけで構成された空間の清々しさは、写真からも伝わっていますでしょうか。

結びに:本物の家づくりを、次の世代へ
石、木、竹、縄、そしてこれから塗られる土。 これらはすべて、いつかは自然に還る素材です。
しかし、その組み合わせが生み出す強靭さと快適さは、現代の化学製品には代えがたいものがあります。
手間と時間をかけ、職人の技を注ぎ込み、地域の人々の思いを乗せて建てる家。
そんな当たり前でいて、今の時代には贅沢な家づくりが、もっと身近なものになればいいなと思っています。
【家づくり相談・見学会のご案内】
アトリエ椿では、伝統的な工法や自然素材を活かした心地よい住まいづくりをご提案しています。
土壁の住まい、国産材を使った設計にご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。


















