水害・浸水被害を受けた住宅の復旧|消毒・乾燥・カビ対策で大切なこと【千葉県豪雨・台風被害】|News & Topics|柏市の設計事務所「木の家設計室 アトリエ椿」 古民家リノベーション

水害・浸水被害を受けた住宅の復旧|消毒・乾燥・カビ対策で大切なこと【千葉県豪雨・台風被害】

2026/09/24

令和8年台風第25号に伴う災害により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 

令和8年8月には、千葉県内で豪雨による大きな浸水被害が発生しました。さらに9月にも佐倉市などで大雨による冠水や住宅被害が発生し、短い期間の中で、水害の危険性をあらためて実感する出来事が続いています。

近年、台風や集中豪雨による浸水被害は、決して特別な地域だけの問題ではなくなっています。

 

住宅が浸水したとき、まず何をすればいいのか。

どこまで撤去する必要があるのか。

消毒や乾燥は、どのような順番で行うのか。

そして、一度水に浸かった建物を、その後どうやって安全な住まいへ戻していくのか。

 

今回の説明会では、浸水直後から応急修理、その後の本復旧までの流れについて、建築的な視点からあらためて確認することができました。

浸水した水は「汚水」と考える

 

水害後の住宅で、まず認識しておきたいのが、建物に入ってきた水は単なる雨水とは限らないということです。浸水した水には、泥や土、生活排水、下水、細菌など、さまざまなものが混じっている可能性があります。

そのため、何が混じっているかわからない「汚水」であることを前提に作業する必要があります。

片付けや泥出しをするときには、肌の露出を避け、手袋やマスクなどを着用すること。作業後には手洗いを徹底することも重要です。

 

被災直後は一刻も早く片付けたい気持ちになりますが、まずは作業する人の安全と衛生管理を優先します。また、水害後の消毒は、単に消毒剤を撒けばよいというものではありません。

基本となるのは、

 

排水 → 泥や汚れの除去 → 洗浄 → 乾燥 → 必要に応じた消毒

 

という流れです。汚れが残ったままでは、十分な消毒効果も期待できません。

水に浸かった石膏ボードや断熱材はどうする?

住宅が浸水した場合、建材をどこまで残せるのかという判断も必要になります。

たとえば、一般的な住宅の壁や天井に多く使われている石膏ボード。石膏ボードは一度水を含むと強度が落ち、ボロボロになってしまうことがあります。

一見、表面がきれいに見えても、内部まで水を吸っていることがあるため、浸水した範囲によっては撤去が必要になります。

 

また、壁や床に入っているグラスウールなどの断熱材も注意が必要です。繊維の中に水分を含んだ状態では乾燥しにくく、そのまま壁の中へ閉じ込めてしまうと、カビ発生の原因になることがあります。

繊維系の断熱材は、一部でも水に浸ると毛細管現象で水を吸い上げてしまうため、全撤去するのが基本となります。

また、断熱材はさんだパネルで構成されているユニットバスに関しても同様で、全交換となる場合が多いそうです。

 

水害後の住宅復旧では、

「まだ使えそうだから残す」

ではなく、

本当に乾燥させることができるか、衛生的に再使用できるか 

という視点で材料を確認する必要があります。

一例ですが、コンセントボックスの中部や、配管類にまいた保温材なども点検の対象です。

専門業者に点検してもらうことをお勧めします。

水害後の住宅で重要なのは「十分な乾燥」

今回の説明会で、特に重要だと感じたのが乾燥期間です。

床下浸水や床上浸水が起きると、床材だけでなく、土台や柱、床組などの木材にも水分が入り込みます。

表面は比較的早く乾いて見えることがあります。

しかし、問題は木材の内部です。

表面が乾いていても、内部にはまだ多くの水分が残っている場合があります。

自然乾燥の場合、建物の状況や季節にもよりますが、3〜6か月以上の乾燥期間が必要になる場合があります。

ここで復旧を急ぎ、床や壁を塞いでしまうと、内部に残った湿気の逃げ場がなくなります。

 

その結果、翌年の梅雨など湿度が上がる時期になってから、

床下にカビが発生する

壁の中でカビが広がる

室内にカビ臭が出てくる

木材の劣化につながる

といった二次被害が起こる可能性があります。

水害後の住宅では、

「表面が乾いた」ことと「建物全体が乾いた」ことは違う

という認識がとても大切です。

 

水害後、急いで床や壁を塞がない

被災すると、当然「一日でも早く元の家に戻したい」と考えます。

しかし、水害復旧では、早く仕上げることが必ずしも良い結果につながるとは限りません。

むしろ重要なのは、

濡れた部分を見える状態にして、十分に乾燥させる時間を確保すること。

床下や壁の中は、完成してしまえば簡単には確認できません。

だからこそ復旧工事では、仕上げる前の段階で、木材や下地が本当に乾いているかを確認する必要があります。

場合によっては含水率を測るなど、目視だけではない確認も必要になります。

復旧後の材料は「乾きやすさ」も考えたい

そして設計者として、今回改めて考えたのが復旧時の材料選びです。

建物は常に完全に乾燥した状態で使われているわけではありません。

雨や湿気、結露、そして今回のような浸水など、建物にはさまざまな形で水分が入る可能性があります。

だからこそ、仕上げ材を選ぶときにも、

水分が入ったときに、建物が再び乾くことができるか

という視点が大切です。

 

アトリエ椿では、無垢の木や漆喰、土壁など、自然素材を使った家づくりを多く行っています。

無垢材や塗り壁には、湿気を吸ったり吐いたりする性質があります。

もちろん、自然素材であれば水害に強いという単純な話ではありません。

大量の水に浸かれば、無垢材であっても十分な乾燥が必要です。

 

ただ、無垢の木材が洗えばそのまま使えるのに対し、合板類は水に浸ることで接着剤の強度が極端に落ち、交換を余儀なくされることがほとんどです。

ビニールクロスで塞ぐ前に考えたいこと

復旧工事では、建物内部の湿気が逃げることを妨げない材料や納まりを考えることがとても重要だと思います。

たとえば壁を復旧する際、まだ下地や木材に水分が残っている状態で、透湿しにくい仕上げ材で表面を覆ってしまうと、内部の水分が抜けにくくなることがあります。

イメージとしては、まだ乾き切っていないものにラップをかけてしまうような状態です。

見た目はきれいに復旧できても、その内側に湿気が残り続けてしまえば、後になってカビなどの問題が出る可能性があります。

 

もちろん「ビニールクロスはすべて悪い」という話ではありません。

壁の構成、断熱材、防湿層、通気の取り方などを含めて総合的に考える必要があります。

ただし水害後の復旧では、通常のリフォーム以上に、

「きれいに塞ぐこと」より「きちんと乾かすこと」

を優先する必要があります。

水害復旧は「元通りにする」だけではない

浸水被害を受けた住宅の復旧というと、

「濡れたものを取り替えて、元通りにする」

というイメージを持つかもしれません。

しかし実際には、排水、清掃、消毒、撤去、乾燥といった工程を重ね、建物の状態を十分に確認したうえで、ようやく復旧工事へ進みます。

 

そして、せっかく手を入れるのであれば、単に以前と同じ状態へ戻すだけではなく、

また水や湿気が入ったときに、きちんと乾くことができるか。
傷んだときに、点検し、直しやすい建物になっているか。

という視点も大切にしたいと思います。

 

無垢の木や塗り壁などの自然素材を使うことも、単なるデザインや雰囲気のためではありません。

湿気を抱え込みにくく、必要なときに手を入れながら長く使っていけること。

水害のリスクが身近になっている今、これからの住宅設計やリフォームでは、完成したときの見た目だけでなく、濡れたときにどう乾くか、傷んだときにどう直せるかまで考えることが、より大切になってくると感じています。

090-6046-4649 9:00~17:00 mail form

News category

information

木の家設計室 アトリエ椿
■ 柏ヘッドオフィス
〒277-0063
千葉県柏市西山2丁目21-9
■ 久喜オフィス
〒349-1124
埼玉県久喜市佐間223-1
築50年・築40年・築30年などの古い家のリノベーションをお考えなら柏市の設計事務所「木の家設計室 アトリエ椿」
ライフスタイルに合った快適な住居、健康に配慮した住居、お客様のご要望をお伺いいたします。
千葉県柏市を中心に、古民家のリノベーションについてお考えでしたら、お気軽にご相談下さい。
  • 9:00~17:00 090-6046-4649
  • mail form

対応エリア

柏市中心に周辺地域で対応が可能です。

弊社では、千葉県柏市を中心に周辺地域で対応が可能です。
※地域によっては交通費が発生する可能性がございます。
まずは、お気軽にご相談下さい。
>>お問い合わせはコチラから。
 

木の家設計室アトリエ椿 Instagram
現場のレポートや施工事例などプライベートも交えつつ、最新の情報をお送りしています
facebook
進行中のプロジェクトや住まいに関する情報、現場の様子やイベント情報もアップしていきます
blog
「住まいと健康」についての情報や木造住宅の耐震性など「住まいの基本性能」についての総合サイトです。
新築・リフォームをする時のお役に立ち情報をまとめています。
ショールーム
実際の家のイメージとしてはショールームにしている事務所をご活用ください。